よくある質問ーWPC処理全般の質問

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WPC処理全般の質問

なぜWPC処理で摺動性が良くなるのでしょうか?

WPC処理した表面の形状は微細な凹凸ができており、硬度が高く面圧に負けない組織になっています。この凹部分にオイルを保持させる(オイルホールの生成)、接触面積の減少により、摩耗を減らし、摺動性を向上させています。

昔から摺動部に梨地面を作ると摺動性が向上することは経験的に知られていましたが、面圧のかかる金属にこのような凹凸を作っても圧力に負けてつぶれてしまいます。WPC処理では表面の硬度を上げると同時に微細な凹凸を作っていますので、摺動性を向上させることができるのです。

なぜWPC処理で疲労強度が上がるのでしょうか?

一般的に金属の疲労破壊は表面に微細なクラック(ヒビ)ができ、それが進行して最終的に破壊が起こります。疲労強度を上げるにはクラックをできにくくすることと、クラックが広がりにくくすることが重要です。
WPC処理はショットをたたきつけているため、圧縮残留応力が高められています。圧縮残留応力とは、『ばねを縮めた状態』とお考えください。クラックは引っ張られた時にできますので、もともと縮められた状態にあるWPC処理表面にはクラックが入りにくくなります。

金属は非常に硬い炭化物とそれを結びつけるニッケル、クロム、モリブデン等から構成されています。炭化物の個体が大きいとそれぞれの結びつきは弱くなります。WPC処理をした金属表面は非常に微細な炭化物組織になっており、結びつきも強いものになっています。結びつきが強ければ、当然クラックも入りにくく、入ったとしても広がりにくくなります。よってWPC処理を施すと疲労に強くなり、折れや欠けが激減するのです。

車種別に部品の処理価格はわかるのでしょうか?

車種別にピストンとシリンダーの価格をリストアップしています。
他の部品はプライスリストをご覧ください。
依頼品の車種名型式をこちらですべての把握するのは難しく参考価格となりますが、ご了承ください。
お見積もりもいたしますので、シャフト形状は径(最大部)と長さをお知らせください。 ギア、スプライン、ネジが含まれる場合はその径と、長さを明記ください。
異形箇所がある場合は簡単なイラストで書いていただければ、本来の処理価格に近い金額が算出できると思います。

ベアリングは処理出来ますか?

ベアリングに関しては、ローラーベアリングは処理可能です。ボールベアリングは処理剤が洗浄時に完全除去できない可能性がある為、トラブル回避を考慮して処理をしておりません。

ハイパーモリショットのデメリットはありますか?

ハイパーモリショットは表面層にモリブデン層を形成します。処理直後は形成しきれなかった余分なモリブデンが表面に盛った状態になっています。これはモリブデングリスが付いているのと同じような効果を有するので問題はないのですが、寸法が厳しいところでは、洗浄しウェスなどで入念にふき取らないと、まれに勘合部が入らない事もあります。
拭き取ると独特の色が落ちるので効果が落ちていると錯覚しますが、モリブデン層は材料の表面層に浸透していますので、効果は落ちる事はありません。

タフトライドと比べるとどんな違いがあるの?

タフトはWPC処理よりも硬さが深くまで入るのでそれなりにメリットはあるのですが、残念ながらもろさが出てしまうことと、熱ひずみが出てしまうことが欠点です。

WPC処理は逆にさほど深くまで硬さは入りませんが、折れには強くすることができます。
ピンやジャーナルの部分には摺動性を重視した処理(若干弱め)を施し、折損対策として、ピン、ジャーナルの付け根の部分に疲労強度を向上させる強い処理を施すことができます。タフトの上からも処理が可能で、折れにくくする事ができます。

WPC処理は定期的にしなければダメでしょうか?

基本的には1回処理しておけばOKです。

但し、レースユース、高走行距離などで定期的なメンテナンスを行う場合は、より良い状態で使用したいため、再処理を繰り返す事が多いです。

ギア等の場合で疲労破壊防止で処理する場合はWPC処理で微細なクラックの発生を抑制しますが、それでも出来てきた微細なクラックを再処理により修復することが可能な場合があります。

コーティングされているようですが、WPC処理は、それらを剥がしてしまうのですか?

一般的なテフロンコーティング、二硫化モリブデンコーティング等は軟質なコーティングですので、WPC処理時に除去します。
一方、ハードクロームメッキ、ニカシルメッキ等の硬質なコーティングは除去せずにその上からWPC処理を施しています。

WPC処理した後に塗装することは可能でしょうか?

可能です。表面にディンプルを形成した為、表面積が増え、塗装の密着度が上がります。

ベアリングとオイルシールが装着されている部分はやはりマスキングしたほうがよろしいのでしょうか?
WPC加工ってディンプル加工ですよね・・・つまりミクロの隙間ができると考えた場合、マスキングしないとオイルシールの意味がなくなってしまうのではないでしょうか?それとも無視していいレベルと考えていいのでしょうか?

WPCのディンプルによってシール性が損なわれると考えていらっしゃるのだと思いますが、医療用のガラス製注射器を見たことがあれば思い出してください。O−リングなどは一切無く、ガラスとガラスのすり合わせで液が漏れる事無くシールされています。これは空気自体が磨りガラスの表面に膜を作っているのです。
WPCはディンプルによって、より強力に膜を形成しますので、シール性が逆に向上します。現にフロントフォークのインナーパイプに処理するとフリクションロスが減少し、かつシール性が向上します。
ですから、マスキングせず、全面処理するのが良いと思います。

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